FPわかし’s blog

目指せ!お小遣い投資家

2.投資対象を決める

証券口座、銀行口座、NISA口座が開設されたら、銀行口座へお金を送金して投資の準備が整います。まずは『お小遣い投資家』として投資対象を選びます。具体的には、大型高配当株・JREITを対象として銘柄を選定します。第3章で詳しく説明しましたが、銘柄選定で最も大切なことは「暴落時に迷わず買えるかどうか」です。この視点で銘柄を選定し、信頼度を高めるための調査と情報収集を行います。

 

大型高配当株ですが、大型株に含まれる企業は知名度が高く、消費者と接点が多くあります。ですので、まずは自分の生活に直接関わっている企業から探していくとよいでしょう。例えば、自分が乗っている車(トヨタ、ホンダなど)、使っている携帯電話・スマートフォン(ドコモ、ソフトバンクなど)、口座を持っている金融機関(みずほ、三菱UFJなど)など、生活の中で直接接する企業は愛着がわきますし、商品・サービスの質を判断しやすいです。

www.okasan-online.co.jp

 

この中で「ここが倒産したり、配当が出ないなんてことがあるだろうか?」という企業に絞り込んでいきます。倒産が想像できない、(利益を出すから)無配当が想像できない、という企業を探していきます。もちろん、何が起こるかわかりませんので「確実」や「絶対」ということはあり得ません。ただ、自分で心から「ここなら大丈夫だろう」と思える企業を探すことです。

 

そして、高配当という条件を加えていきます。通常、高配当とは配当利回りが高いことを意味します。これは配当が低くても、株価が大きく低くなると高配当になってしまいます。例えば、ほぼ同じような規模・業績のA社とB社が以下のような状況だとします:

A社 配当金:50円 株価:1000円
B社 配当金:40円 株価:700円

配当利回りを計算すると、A社:5.00%、B社:5.71% となりB社の方が配当が少ないのに高配当になってしまいます。高配当は単に配当利回りで判断するのではなく、株主に配当を出す方針や過去の配当状況(減る、同じ、増えるという変化)、配当利回りを総合的に調べて高配当と判断していきます。

 

次にJREITですが、投資対象が不動産になりますので、どのような不動産を所有しているかが主な選定基準になります。JREITの情報はポータルサイトで一覧でき、個別のJREITを運営する投資法人のホームページから詳細情報が得られます。

www.japan-reit.com

 

JREITの銘柄は大きく分けると用途特化型総合複合型に分かれます。用途特化型とは1つの用途に特化した物件を所有しているタイプです。例えば、日本ビルファンドは事務所(オフィスビル)に特化しており、日本リテールファンドは商業施設に特化しています。総合複合型とは2つもしくは3つ以上の用途の物件を所有しているタイプです。例えば、プレミアは事務所と住居の2つを所有しており、オリックス不動産は事務所、住居、ホテルなど複数の用途の物件を所有しています。

 

JREITの収益は物件の賃料ですから極めて安定していますが、景気の影響を受ける場合もあります。好景気で企業が収益をどんどん拡大していくときは全国に事務所が必要でしょうから事務所物件の需要が上がり、高い賃料でも貸し出すことができます。また、旅行する人が増えてくればホテルの客室稼働率が上がり、ホテル物件から得られる収益も上がります。このように好景気になると収益が上がり、分配金(配当)が上がります。

 

逆に、不景気になると高い賃料の事務所は企業にとって負担になり、旅行する人も減ってきますから分配金が下がります。一方で、住居は景気の影響をあまり受けませんので、比較的分配金が安定しています。景気の影響を考え、住居特化型や総合複合型を選んでリスクを抑えるという選択もありますし、今後数年は景気が良くなると思えば、事務所やホテルに特化した銘柄を選ぶという選択もあります。

 

JREITの利回りは、分配金利回りという数値で判断します。これは株の配当利回りと同じ考え方になり、高配当の条件を判断する際に使います。これも繰り返しになりますが、ただ単に分配金利回りが高いものを選ぶのではなく、なぜ高いのかを理解しなくてはなりません。

 

さて、これから投資を始めていくために、まず投資ノートを用意しましょう。A4サイズの普通のノートでいいので1冊用意してください。そして、大型高配当株から3つ、JREITから3つ、合計6つを目標に投資対象の銘柄を選び、投資ノートにメモします。メモする内容は、なぜその銘柄を選んだのかという理由です。

 

銘柄を選定する中で色々な情報を得て、信頼できる銘柄として決めた根拠となるものを文字で残しておくのです。そうすることで、もし失敗したなと思ったときにノートを見て、どこが良くなかったのかという反省と改善ができます。

 

例として、私の事例を1つ紹介します。私は数年前JREITの「ヘルスケア&メディカル」を投資対象にしました。その際のメモには、今後の高齢化社会には老人介護施設が必要になる、国が後押ししている、今後病院にも展開していく、ということが書かれていました。

 

当時、老人介護施設の物件に特化したJREITは3つありました(日本ヘルスケア、ヘルスケアメディカル、日本シニアリビング)。しかし、ヘルスケアメディカル以外の2つは他のJREITに吸収されてしまい、2020年5月現在残っているのはヘルスケアメディカルだけです。この背景には、人手不足や暴行事件が起きたりと、老人介護施設を運営するオペレーターの過酷な運営状況があります。この部分が当時の私の判断基準から抜けていました。そこで、いったんヘルスケアメディカルへの投資をやめることにしました(もちろん損切はせず15%ほどの売却益で手放しました)。

 

新しいことを始める場合は、ほぼ例外なく失敗します。失敗することが問題なのではなく、失敗から学ばないことが問題です。投資環境は常に変化していますので、投資家も常に学び、改善しなくてはなりません。