FPわかし’s blog

目指せ!お小遣い投資家

投資をじっくり考えよう【積立投資編】

投資というと長期、分散、少額という3点セットがよく使われます。長期的な視点でコツコツ少額から続けていくことで、大きな資産をつくることができる。また、1つのものに集中させるのではなく、様々なものに分散させることで投資が安定してくるというわけです。

 

分散の例えですが、1つのカゴに卵を全て入れると、そのカゴがもし落ちてしまったら全ての卵が割れてしまいますが、卵を複数のカゴに分けておけば、もし1つのカゴが落ちても他の卵は割れないというわけです。

 

長期、分散、少額という3つのポイントを踏まえて投資するとなると、毎月数千円から数万円を長期間継続的に積立するというのが主流になります。そして、複利の効果を最大限に活用するために配当金をもらわずに再投資するというのが王道になっています。

 

投資において複利の考えは大切ですので、少し補足説明します。何かに投資すると配当金がもらえます。例えば、会社の株を買うと利益の一部を配当としてもらうことができます。自分のお金を何かに投資したことで得られるお金です。分かりやすい例えとしては、銀行の定期預金の利息が配当金のようなものです。

 

この配当金をもらう場合ともらわない(再投資する)場合で、その後の投資効果が変わってきます。

例えば、1万円を投資して配当金が500円だとしましょう。その配当金が出た時、配当金をもらう場合は1万円のままですが、もらわない(配当金を投資に回す)場合は、1万500円になります。次に配当金が出た時、前回もらった500円に対しても配当金が出るようになります。これを繰り返していくと、配当金をもらう場合ともらわない場合で大きな差が出てくるのです。 

もらう場合:
1万円、1万円、1万円、1万円、1万円・・・どこまでいっても1万円のままです

もらわない場合:
10,000円、10,500円、11,025円、11,576円、12,155円・・・2割ほど増えます

ちなみに、1万円に対して720円の配当金が出る場合、配当金をもらわずに再投資していくとします。すると、10回配当金が出ると何と倍の2万円になるのです。1年に1回の配当だとすると、10年で投資額が倍になります。

電卓を使って、10000×1.072×1.072×1.072・・・と10回計算してみるとわかります。このような配当をもらわず再投資する場合の増え方が複利です。一方、配当をもらってしまい毎回の配当額が同じ場合は単利といいます。

 

話を積立に戻すと、この複利の凄さを最大限に活用するため、毎月コツコツ長い期間で運用していけば驚くほど資産が増えていくことになります。だから積立が重要であり、積立NISAやiDeCoという節税効果も使えるので、積立投資がベストであるというわけです。

 

しかし、『お小遣い投資家』では積立をしません。なぜかと言うと、積立投資は取り崩しのタイミングが不明確だからです。積立投資は確かに長期的に複利を活用すれば大きく資産を増やすことが可能です。ただ、資産を増やすことは手段であって目的ではありません。積立により資産を増やしている間はお金を使うことはできません。画面上に表示される資産額がどんなに増えようとも、コンビニでアイスを買うこともできませんし、家の電気代を支払うこともできません。

 

つまり、資産を増やしていくことは大切ですが、どこかで現金化が必要なんです。でも、いつ現金化すればいいか、どのくらい現金化すればいいかが非常に決めにくいのです。積立中にちょこちょこ現金化していたら長期と複利効果の意味がなくなってしまいます。だから、積立し続けることが正解になってしまうと取り崩す(現金化する)タイミングがよくわからなくなってしまします。

 

人生何があるかわかりませんので、やむを得ず積立した資産を現金化しなければならないときもあります。しかし、資産額というのは常に変動する株価や為替によって変化しますので、たまたま資産を取り崩すときに価格が低かった場合は現金化することで損してしまうこともあるのです。逆に、価格が高ければ現金化することで得する場合もあります。いずれにせよ、現金化するときの市場価格に左右されてしまうのです。

 

2020年3月から4月にかけて、新型コロナウィルス感染拡大により株や原油が信じられないほど大暴落しました。アメリカでは過去最大の下げ幅を記録し、日本も株価が激しく乱高下しました。緊急事態宣言が発令され、外出自粛のため経済活動が停滞し、様々な業種で売上が減り、仕事が無くなって生活が厳しいという人もたくさん出ました。

 

そして、国民1人あたり10万円を給付するという異例の状況です。多くの人にとってお金が必要になったわけです。もし、ここでお金が必要だからといって積立してきた資産を取り崩して現金化すると、大きく損失を出して、今まで積立してきた複利効果が一気に吹き飛んでしまうこともあるわけです。

 

積立投資は確かに有力な投資方法ですが、最終的に積立して増やした資産をどうするのかという出口戦略、急にお金が必要になった場合の取り崩しをどうするか予め考えておく必要があります。