FPわかし’s blog

目指せ!お小遣い投資家

投資をじっくり考えよう【生命保険編】

日本人は保険が好きと言われます。生命保険文化センターのデータによると、男性・女性ともに8割以上の人が生命保険に入っています。

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生命保険加入率 令和元年度

www.jili.or.jp

 

この生命保険は、掛捨て型と貯蓄型に分かれますが、貯蓄型の保険を投資の1つとして利用している人も多くいると思います。確かに、資産運用というキーワードで調べると貯蓄型の保険も候補に出てきます。

 

貯蓄型の保険は、銀行預金と比較してメリットが強調されます。

・銀行に預けておくよりもお金が増える
・いざというときは保険金がもらえる
・節税ができる

このようなメリットがあるので、銀行に預けておくよりは貯蓄型の保険に入っておくほうがお得ということです。

 

ただ、結論から言うと貯蓄型の保険は投資には向いていないので、『お小遣い投資家』では使用しません。投資信託と同様に、『お小遣い投資家』には関係ないので説明不要ですが、保険を正しく理解することは節約につながり、結果的に投資にプラスになるので解説していきます。

 

まず、貯蓄型の保険に入って支払った保険料は、保険会社によって運用されています。詳しくは、<貯金したお金はどこへいった?>記事を参照ください。結果として運用されているのであれば、自分で直接運用した方がお得です。これは保険に限らず、何でもそうですが、間に誰かが入ると金額が高くなっていきます。

 

生命保険会社では、テレビCMを流したり、パンフレットをつくったり、新商品を開発したり、保険販売員の人件費、その他の社員の人件費など膨大なコストが発生しています。それらの原資は保険に加入した人が払った保険料です。少し補足すると、保険料は純保険料と付加保険料の合算であり、純保険料は保険の支払いに回るお金で、付加保険料は保険会社の運営に回るお金です。この付加保険料が多くの場合開示されていません。いったいいくらのお金が保険会社の運営に回っているのかわからないのです。

 

少し横道にそれたので、話をいったん戻します。ここで強調したいのは保険そのものについてです。そもそも、保険とは何のために利用するのかという点から投資と保険は別ものであることをしっかり理解する必要があります。前提として、保険会社や保険そのものが良い・悪いということではありません。投資を考える際に、保険というものをしっかり理解しておく必要があるということです。

 

保険とは、万が一予期せぬことが起こったときのために、貯蓄や公的支援でカバーできない金額を調達する手段です。例えば自動車保険ですが、もし万が一事故を起こして誰かを傷つけてしまったり、物を壊してしまったりした場合、とても個人では支払いきれないような高額の賠償が必要になることがあります。でも、そのようなことはめったに起きませんし、たくさんの人が保険に加入するので、一人ひとりが支払う保険金額は少額で済むわけです。これが保険のあるべき姿です。

 

この視点で考えると、生命保険を必要とするのは、小さい子供のいる家庭で子供が経済的に自立するまでの保証です。生命保険とは、自分のために入るのではなく、自分に何かあった際に経済的に困ってしまう誰かのために入るものです。

 

例えば、一家の大黒柱に何かあると翌日から収入が途絶えてしまいます。残った遺族は生活していくためにお金が必要ですし、子供の教育費も必要になります。その額は数百万円から数千万円になることもあり、この金額を貯蓄で賄うのはとても厳しいですので、不足するお金を調達する手段として保険に加入するわけです。

 

つまり、生命保険は何かあったときに不足するお金を補うもので、お金を増やしていく投資とは別ものであるというのが結論です。ただ、既に生命保険(終身保険など)に加入している場合は、無理に解約する必要はありません。解約すると今まで支払ってきたお金が戻ってこない可能性が高いですので、それはそのまま継続すればよいと思います。もし、これから投資目的で保険に入ろうと思っていたら、今一度しっかり検討してほしいと思います。