FPわかし’s blog

目指せ!お小遣い投資家

投資をじっくり考えよう【投資信託編】

第1章の前半では投資の必要性について説明しましたが、後半では投資に関する商品の解説と投資の基本的用語の解説を行います。

 

老後が不安だから投資を始めるという人も多いと思いますが、「投資の初心者は投資信託から始めよう」ということをよく聞きます。FP(ファイナンシャル・プランナー)が「投資信託は初心者向け」と言っていることも多いです。

 

しかし、私は投資信託は投資の上級者向けだと思っています。言葉を変えると、投資の初心者は投資信託に手を出してはいけないとも思っています。実際、国民生活センターに寄せられた相談事例を見てみても、投資のことが良くわからない高齢者が、言われるがままに投資信託を購入し、結果として大きく損失を出して困っているというケースが見られます。

 

ちなみに、『お小遣い投資家』は、銀行や証券会社で販売されている一般的な投資信託は買いません。ですので、詳しく説明する必要はないのですが、金融商品に対する考え方という点で非常に重要なので解説しておきます。

 

投資信託とは、株や債券などをパッケージ化した商品です。特徴として、プロが運用してくれ、少額で購入でき、世界中の様々な金融商品分散投資ができるというものです。いくつか難しい言葉が出てきましたが、簡単に言うと例えば1万円でiPhoneをつくっているアップルやレクサスで有名なトヨタなど複数の有名企業へ投資できるということです。

 

ただ、投資信託は運用内容と運用コストという点で上級者向けなのです。例えば、「ノックイン」という商品を投資の初心者が理解できるでしょうか?私も実は意味が分かりません。逆に、シンプルで有名な「世界バランス型」なんてものがありますが、何をもってバランスなのかがわかりません。

 

つまり、運用内容が複雑で理解できないものが多いのです。例えば、お正月の福袋を買ったけど何が入っているかよくわからないとう状況です。「投資のプロに任せておけば大丈夫」とか「皆も買っているならきっとよい商品」という考えで金融商品を買うのは非常に危険であること、そして損しても全て自己責任であるという認識が必要です。自分の大切なお金がどうなるのか理解できないものに投資してはいけないのです。

 

投資の初心者というのは、最初は投資のことが分からなくても徐々に分かり、中級者、上級者になっていかなくてはなりません。中身が分からないものに投資していても、投資のレベルは上がりません。車の運転と同じように、自分でハンドルを握り、最初は近所だけ運転したのが、多少怖い思いもしながら徐々に運転ができるように、投資も自分で理解できるものから少しずつ始めていくべきです。

 

投資の上級者であれば、資産形成を考える際に、株の比率を上げるか、債券の比率を上げるか、海外(外貨)の比率を上げるかなどの判断ができます。そして、投資信託の中身(運用内容)を理解したうえで自分の資産形成をどのように調整していけばいいのかが判断できるのです。ちょっと難しい言葉を使うと、ポートフォリオ(資産の配分比率)の見直しができるのです。

 

もう一つの運用コストという点ですが、投資信託で発生する費用(コスト)を理解しているでしょうか?

投資信託でかかるコストは3種類です。

1.販売手数料
2.信託報酬
3.信託財産留保額

1.の販売手数料ですが、投資信託を販売した人に入る手数料です。3%くらい取られる場合もありますが、これは例えば100万円で投資信託を買うと、3%=3万円を手数料で取られてしまいます。つまり、100万円払っても投資のスタートは97万円からになります。
2.の信託報酬ですが、投資信託を運用する人に支払われる報酬手数料です。
3.の信託財産留保額ですが、投資信託を解約する際に発生する手数料です。

投資信託の運用を考える場合、2.と3.のコストは必要コストですが、問題なのは1.販売手数料です。日本の投資信託においては、購入した人が損するようなケースがとても多いように思います。もし、退職金2000万円を販売手数料3%の投資信託に投資したら、いきなり60万円が消えるわけです。

 

以前かんぽ生命の契約に対して問題になっているという報道があったのを覚えているでしょうか。簡単に言うと、売る人が買う人(特に高齢者)に無理な契約を行っていたというものです。なぜこのようなことが起きるかというと、売る側の報酬形態が販売手数料に連動しているからです。つまり、手数料がたくさんもらえる商品を売ることばかり優先されるため、新しい商品にどんどん乗り換えることで手数料を稼ぐようになってしまうのです。結果として契約者にとって良い商品ではなく、売る側にとって良い商品(手数料が高い)が売られることになります。無理な契約を行った販売員も問題ですが、販売員がそうしてしまうような手数料ビジネスの構造が根本的な問題です。

 

投資信託は国内で数千を超える商品があり、新しい商品も登場しています。そもそもですが、こんなにたくさんの商品は必要ないはずです。なぜなら、投資の対象はそんなに多くないからです。株、債券、不動産、コモディティ(金、銀、原油など)の4種類です。新商品に乗り換えることで、新たな手数料収入が発生するので、投資信託を売る人たちが儲かる仕組みができているのです。これは、投資信託を買う人が損する仕組みです。

 

また、毎月分配型(毎月配当がもらえる)の投資信託について、金融庁が問題視したことがありました。これは、毎月分配金がもらえるといいながら、実際は自分が投資したお金が戻ってきているだけで、全くお金が増えていないということが起きていたためです。これを「タコ足配当」と言います。タコが自分の足を食べているという比喩です。念のため、『お小遣い投資家』は、毎月1万円の収入を目指しますが、毎月分配型と言われている投資信託とは全く異なりタコ足配当もありません。

  

誤解を恐れずに言うと、投資のことが良くわからない人をターゲットにお金を稼ぐ手段として投資信託が売られているという状況が起きているように思うのです。そして、投資の初心者は投資信託から、というのも投資信託を売ることで稼ぐ人たちの都合のよいフレーズになっているようにも思えてしまいます。

 

間違っても「銀行に勧められるまま退職金の全てを投資信託に投資する」とか「証券会社に勧められるまま全財産を投資信託に投資する」 というのはやめるべきです。別に、銀行や証券会社が悪いとか、投資信託が悪いと言っているわけではありません。中身が分からないものに投資するのはたいへん危険であるということです。中身が理解できて納得して購入するなら問題ありません。