FPわかし’s blog

目指せ!お小遣い投資家

貯金したお金はどこへいった?

日本人は貯金が好きと言われますが、世界の他の国と比較してみると確かにそのようです。日本銀行調査統計局から出ている資料を見ると、現金・預金の割合はアメリカが12.9%に対して、日本は53.3%と金融資産の半分以上が現金・預金となっています。

 

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資金循環の日米欧比較 2019年8月29日

日本の金融資産総額が1835兆円となっているので、その53.3%というと978兆円が現金・預金になります。ところで、この膨大な978兆円というお金ですが、どこに保管されているかご存じですか?もしかして銀行の大きな金庫にあると思っていませんか?

 

答えはノーです。銀行に預けられたお金は運用されているのです。もし金庫に保管されているだけなら、そこからお金は生まれません。そうなると、銀行で働く銀行員のお給料は出ませんし、預金の利息もつきません。銀行は預かったお金を運用することでお金を生み出し、その中から銀行員のお給料や利息が支払われるわけです。

 

そもそも、当たり前すぎて疑問に思わないですが、銀行にお金を預けると利息がつくのはちゃんと理由があるのです。実は、私たちが預金(ゆうちょ銀行の場合は貯金)しているお金は投資にも回っているのです。つまり、投資は怖い、苦手、やりたくないと思っていても結局のところ投資に回っているということです。

 

これは生命保険でも同じなんです。日本人は保険が好きと言われますが、多くの方が何らかの保険に入っていると思います。毎月保険料を支払いますが、あのお金は生命保険会社の金庫に入っているかというと、そうではなく運用(投資)されています。

 

例えば、野球場で有名な東京ドームですが、みずほ銀行富国生命が大量に株を持っています(2020年4月時点)

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東京ドーム 株主

引用元は以下東京ドームのホームページです

www.tokyo-dome.jp

 

東京ドームの株価ですが、2020年4月24日時点で750円です。となると、みずほ銀行は4,282千株、富国生命は4276千株ですから、どちらも30億円以上の株を持っている(投資している)ことになります。みずほ銀行に預金している人、富国生命に入っている人のお金は、東京ドームの株で運用されているのです。

 

さらに、私たちの大切な年金も投資に回っています。GPIFという言葉を聞いたことがあるでしょうか?GPIFとは年金積立金管理運用独立行政法人のことで、要は年金を運用している団体です。要点だけをお伝えすると、総額約160兆円の資産を持ち、その半分を株で運用しているということです。私たちの年金のうち約80兆円はアメリカや日本などの株に投資されているということなんです。

 

確かに預金しておけば安心ですが、そのお金は結果として投資に回っています。だとすれば、個人として投資をすることも結果としては同じです。実際、アメリカやヨーロッパの国々では多くの人が投資しているわけです。この点で日本と他の国の違いは、単に教育が違うためだと思います。

 

アメリカやイギリスでは子供のときから金融教育を行うのに対して、日本ではほとんど行われません。つまり、教育を受けていないから投資に踏み出せないだけであり、逆に金融教育をしっかり受ければ投資に踏み出せるのだと思います。将来が不安というならば、なおさら日本も世界の国々と同じように、金融教育を受け(金融のことを学び)、投資していくべきなのだと思います。

 

将来が不安になるのは、お金が足りないからではなくお金のことがわからないからです。もし、100万円がもらえるとしても不安は消えることはありません。いくら貯金額を増やしても不安は消えないのです。将来のお金のことを理解して初めて不安が解消していきます。まずは、お金や投資に正面から向き合うことが必要ではないでしょうか。

 

常識は時代の流れとともに変化していきます。今から20年ほど前までは、ガソリンスタンドに行くとスタンドの人がガソリンを入れてくれ、窓を拭いてくれ、ゴミをすててくれるのが常識でした。しかし、当時からアメリカなど海外ではガソリンを自分で入れるのが常識でした。今では日本でもセルフスタイル(全て自分でやる)のが常識になっています。これと同じように、投資という常識も徐々に変化し始めています。