FPわかし’s blog

目指せ!お小遣い投資家

1万円はお金ではない!? その2

(前回からの続き)

 

そんなとき、一人の若者が花子ちゃんを訪ねてきました。その若者は花子ちゃんに言いました。「太郎くんがとても忙しそうなので、代わりに花子さんに相談しにきました。僕は太郎くんみたいな漁師になりたいのですが、船を買うお金もないし、魚が捕れて売れるまで生活できないので、それまでのお金を貸してもらえませんか?もちろん魚が売れたら利息を払って全額お返ししますので・・・」

 

そこで花子ちゃんはひらめきました。「そうか、お金が動かないなら、お金に困っている人に貸してあげよう」花子ちゃんは、この若者に預り証を特別に発行して渡しました。その若者は、預り証で船を買い、魚をたくさん捕って売り、花子ちゃんに利息も含めて借りた全額を返しました。そこで花子ちゃんはとんでもないことに気づいたのです。

 

「もっと預り証を発行すれば、利息で儲かる」と。しかし、預り証は「お金」との交換だから、預かっている「お金」以上に発行したらマズいのではないか。でも、現実的には誰も預り証を「お金」に交換する人はいない。だとすると、架空の預り証を発行しても、皆が「お金」に交換する前に返済されれば問題ない。金庫に入っている「お金」が動かないことは誰も知らない。色々考えた末、花子ちゃんは預り証を発行して、お金に困っている人に貸し出すことを始めました。

 

すると、予想以上に多くの人が預り証を求めて花子ちゃんのところに「お金」を借りにきました。そこで、花子ちゃんは野菜をつくることをやめ、預り証を貸す仕事に専念することにしました。

 

さて、勘のいい方ならもう気づいているかもしれませんが、花子ちゃんのやっていることが「銀行」で、預り証というのが1万円札です。日本では、花子ちゃんの代わりに日本銀行が紙幣を発行しているので、日本銀行券なのです。

 

私たちがお金と考えているあの1万円札は、実は預り証(お金への交換券)であり、極端にいうと単なる紙切れです。そこに、日本政府の信用(皆がお金と認める)があるからお金として成り立っています。海外旅行に行くと、外国では1万円札をそのまま使うことはできません。それはその国で信用がないからです。でも、その国のお金と1万円札を交換することはできます。それは日本という国がその国から信用されているからです。お金というのは、お金そのものの価値ではなく、発行している国の信用で成り立っているのです。

 

日本のお金をたくさん持っている人は、持っている金額より、お金の信用を重視します。つまり、いくらお金を持っていようとも、その信用が揺らいでしまったら、本当の紙切れになってしまうからです。日本人が海外旅行で楽しめるのは、実は日本が世界から信用されているという証でもあるのです。普段は当たり前のようにお金を使い、海外旅行に行きますが、その意味を考えるとともに、この日本を築き上げてくれた私たちのご先祖様に感謝すべきなのだと思います。