FPわかし’s blog

目指せ!お小遣い投資家

1万円はお金ではない!? その1

1万円札を持っていたらよく見てもらいたいのですが、そこには「日本銀行券」と書いてあります。千円札でも五千円札でも同じですが、紙幣(紙のお金)は実はお金ではないのです。お金は大切と思っていても、意外とお金のことを知らない人も多いです。ここでは、お金とはそもそも何なのだろうかということを解説していきます。

 

その昔、お金は存在しませんでした。お互いに物々交換することで生活が成り立っていたからです。太郎くんは毎日海に出て魚を捕る漁師、花子ちゃんは畑で野菜を育てる農家です。太郎くんはたくさん魚が捕れると花子ちゃんに分けてあげ、花子ちゃんが育てた野菜が捕れると太郎くんにも分けてあげました。太郎くんも花子ちゃんもそれで満足して生活していました。

 

しかし、そこへ米をつくる農家、洋服をつくる洋服屋、お酒を売る酒屋、肉を売る肉屋など様々な業種の人が加わり町になっていきました。そうなると、物々交換も複雑になり、太郎くんの魚や花子ちゃんの野菜が欲しいけど、今交換できるものが無いという不便なことが起こりました。そこで、魚や野菜をいったんもらうけど、後から別のものに交換してもいい「お金」が登場したのです。こうすることで、太郎くんや花子ちゃんは魚や野菜を全て渡し、代わりに「お金」を受け取ることで、後からいつでも米やお酒、肉や洋服を手に入れることができるようになりました。ただ「お金」は貴重なものなので勝手につくられては困るということで、特別な貝殻や金属を使うことにしました。

 

つまり「お金」とは価値を保存しておく道具として登場したのです。そして、物々交換の代わりに買い物を便利にする道具、モノがどれくらい価値があるかの基準(魚1匹が大根2本と同等など)を測る道具として広く使われるようになったのです。

 

太郎くんの捕る魚はとても美味しく評判となり、町の多くの人が太郎くんの魚を買うようになりました。そして太郎くんは「お金」をたくさん手にしましたが、家に置いておくと泥棒が入るかもしれないので、花子ちゃんに相談したところ、花子ちゃんが金庫をつくってくれることになりました。

 

花子ちゃんの金庫が完成したので、太郎くんが金庫を買いにくると、花子ちゃんは言いました。「金庫をつくってもお金をたくさん持っているのは危ないから私が預かりましょうか?」太郎くんは金庫を買わなくても預かってもらえば安心と考え、花子ちゃんに預けることにしました。代わりに、花子ちゃんは「預り証」を太郎くんに渡し、「預り証」を持ってくればいつでもお金を戻すという条件で、太郎くんのお金を大切に金庫にしまって保管しました。

 

ある日、太郎くんはおしゃれな洋服を買いに行こうと決めました。ただ、その洋服が高いのでたくさんのお金を持っていかなくてはなりません。「途中で誰かに盗られたらどうしよう」「それにお金は重いから運ぶのもたいへん」そう思った太郎くんはひらめきました。「そうだ、預り証をお金の代わりに持っていこう!」洋服屋の店主は、太郎くんの提案にのり、預り証を花子ちゃんのところに持っていけばお金に替えられるならいいか、と考えて「お金」の代わりに預り証で洋服を太郎くんに売りました。

 

この話を聞いた町の人は、お金の代わりに預り証を使えば、軽いし、便利なので「預り証」で物が買えるようにしようと決めました。そこから「お金」ではなく預り証が広く使われるようになりました。花子ちゃんは、相変わらず金庫にお金を入れて預り証を渡していたのですが、ふと気づきました。「金庫の中のお金って、ちっとも動かないね。結局、誰も預り証をお金に替えに来ないから・・・」(続く)