FPわかし’s blog

目指せ!お小遣い投資家

8.必要となる知識 その2

『お小遣い投資家』にとって必要な知識として、ファンダメンタル分析テクニカル分析、そして四季報ではないという説明をしてきました。その説明を踏まえて、ここでは『お小遣い投資家』が必要とする知識を解説していきます。

 

『お小遣い投資家』は、これまで繰り返し説明してきたように、価値あるものの価格が一時的に大きく下がったときに投資をスタートします。もし、ここで投資できなければ何も始まりません。投資の絶好のタイミングで迷いが生じてはいけないのです。

 

価格を大きく下げた際に投資できるかどうかは、理屈ではなく感情です。極端にいうと、投資対象が信頼できるかというより投資対象を信頼してるかどうかです。最終的には、自分の気持ち(感情)が決定権を持ってきます。ファンダメンタル分析テクニカル分析四季報などの情報やそこから組み立てられた理論は、いざという時ほとんど役に立ちません。

 

投資の用語に「落ちるナイフはつかむな」というものがあります。価格が大きく下がっているものには手を出すなという意味です。価格は下がり始めるとどんどん下がり、底が見えない展開も珍しくありません。そんな中、一人孤独に投資していくには相当の勇気が必要です。ですので、「ここなら投資して大丈夫!」という強い想いが必要になるのです。そこへ自分の気持ちを持っていくために必要な情報を集めておくのが、『お小遣い投資家』に必要な知識なのです。

 

例えば、株式投資において言うと、これから成長していく企業への投資よりも、今後も安定して配当を出してくれる企業を重視します。そうなると、まず第1条件として「倒産しないこと」です。次に、第2条件として「配当が出ること」です。もちろん、投資に100%確実というのはないので、これらの条件をできる限り満たしそうなものという意味です。

 

この2つの条件を満たしていれば、仮に価格が大暴落しても、いずれ価格は戻ってくるだろうし、もし戻らなくても配当をもらえればいいと考えることができます。このように考えて、何か投資対象を見つけ、その投資対象を信頼できる情報を集めていくわけです。

 

理解を深めてもらうために、1つ例を挙げると日本郵政です。この記事を書いている2020年5月時点での情報ですが、かんぽ生命で不適切な契約があったことから株価を下げ、新型コロナウィルスの影響でさらに下げている状態です。

 

日本郵政は、郵便局、ゆうちょ銀行、かんぽ生命を束ねる会社として2015年11月に上場しました。上場時の株価は1631円で、上場後はいったん上昇するも、その後は下降しています。配当は比較的安定しており、「2021年3月期末までの間は1株当たり年間配当50円以上を目安に、安定的な1株当たり配当を目指してまいります。」(日本郵政のウェブページより抜粋)ということです。

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Yahoo ファイナンス 10年チャート

もし、日本郵政に投資するなら、信頼度を高める情報を集めていきます。

 

1.日本政府が大株主であること

日本郵政のウェブページを見ると財務大臣が大株主になっています:

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日本郵政 大株主

財務大臣(日本政府)の配当額を計算すると何と1280億円(25億5952万4千株×50円)ほどになります。これは国家予算にも計上されます。

report.jbaudit.go.jp

※上記のページに掲載されていますが「19年度から26年度までの間に、日本郵政は、国に対して計2304億余円の配当を行うとともに、法人税等として国に計2兆0890億余円を納付していて、その合計額は、2兆3194億余円となっている。」とのことです。

 

日本郵政には日本政府がついていて、配当も国家予算に計上されるということは、倒産しないでしょうし、配当もちゃんと出ると強く思えるわけです。これは多額の納税と配当を実現するためにちゃんと利益を出してくるとも考えられます。ちなみに、日本郵政の株は売り出されることが決まっています。これは財務大臣(日本政府)の所有割合を減らすために売却し、それを復興予算に計上するためです。となると、ある程度の株価までは上昇してくるはずです。ちなみに、復興予算の金額と売り出す株数から計算すると1株あたり1150円くらいが適正価格と言われています。

www.mof.go.jp

 

2.事業内容は今後拡大していく

郵便局ですが、今後さらに拡大していくだろう通信販売(インターネットショッピングや個人間でのフリマ取引)によって、物を配達するということはこれからも続きます。いかに情報社会になっても、物を移動するという需要はなくならないでしょう。

ゆうちょ銀行ですが、資産額が約200兆円でみずほ銀行三井住友銀行よりも大きく、マイナス金利が適用されている逆風の中でも2600億以上の利益(2019年3月期)を出しています。今後金利が上昇してくれば利益もさらに上がってくるでしょう。

かんぽ生命ですが、不適切な契約があったことで、今は大きく信頼を落としていますが、長期的にみれば経営改革するよいタイミングなのだと思います。今後さらに高齢化していく日本において、かんぽ生命にとってはチャンスになるでしょう。

 

これらの情報によって、日本郵政は株価が5倍、10倍になるようなことはなくとも、倒産することや配当がなくなることは考えにくいと思えるわけです。日本政府が潰すはずがないですし、郵便、銀行、保険という私たちの生活に密着した事業ですから需要が確保されています。ここなら大きく株価が下がった時に買っても大丈夫だろうと思えるわけです。

 

日本郵政を例にとり説明してきましたが、別に日本郵政への投資がおススメということではなく、あくまで投資対象として決めたものについて調べて、信頼度を高められるようなネタを収集していくという参考事例です。情報収集していくと、投資対象に詳しくなり親近感も出てきます。『お小遣い投資家』にとって必要な知識とは、投資対象の信頼度を高めるのに必要な情報なのです。