FPわかし’s blog

目指せ!お小遣い投資家

7.必要となる知識 その1

投資に関して身につけるべき知識はたくさんありますが、ここでは『お小遣い投資家』として必要となる知識を説明していきます。どんな知識が必要で、どんな知識が不要なのかを区別しながら、必要な知識を理解していきましょう。

 

投資を始めると最初に言われるのが株式投資における分析手法です。具体的には、ファンダメンタル分析テクニカル分析です。そして、四季報と呼ばれる企業の情報をまとめた情報誌をしっかり活用することです。結論から言うと、こういったものは知っておいて損はないですが、『お小遣い投資家』にとっては特に必要ではありません。

 

といっても、なぜ必要ないのかを理解していないとモヤモヤしますので、その理由を解説していきます。まず、投資(株式投資)の初心者向けとして必ず出てくるのが、BPS、PBR、EPS、PERといった株価に関する分析指標です。これらは簡単に言うと、株価が割安か割高かを判断する数値的指標です。こういった企業と株価の関係性に着目するのをファンダメンタル分析と言います。

 

例えば、最も使われるPER(株価収益率)は「株価÷1株あたりの利益」で算出します。これは「株価が利益の何倍か」を意味しており、株を買った場合に何年で回収できるかということです。この指標が低いと割安、高いと割高という判断になるわけです。しかし、大切なのはPERが低い(割安)という状態より、なぜPERが低いのかという理由です。単に指標が高い、低いという表面的な判断でなく、その背後にある要因が重要だと思うのです。

 

簡単な例えでいうと、たまに株価の利回りが異常に高い銘柄がありますが、その理由が記念配当だったりします。記念配当とは通常の配当とは別に特別に追加配当することで、一過性であるため翌年からは通常配当に戻り、利回りも大きく下がります。本来であれば、通常配当における利回りが本当の利回りと考えるべきです。もし、利回りが高いからという理由だけで投資すると、その年は良いですが、翌年からは期待するほどの利回りを得られないというわけです。

 

話をPERに戻しますが、メガバンクと呼ばれる大手銀行で比較してみましょう。

三井住友フィナンシャルグループ三井住友銀行)5.39倍※
みずほフィナンシャルグループみずほ銀行)6.54倍※

両行のPERを比較すると三井住友フィナンシャルグループのほうが割安です。

また、携帯電話・スマートフォンの大手通信会社で比較してみると、

KDDIau) 11.59倍※
ソフトバンクSoftbank)14.34倍※

となり、KDDIの方が割安です。

※ヤフーファイナンス 2020年5月1日時点 会社予想連結PERの数値を使用

 

どちらが割安かは分かるのですが、なぜ三井住友フィナンシャルグループKDDIが競合他社と比較して割安になっているのか分かりますか?

 

私はその理由が分かりませんし、調べる時間も能力も体力もありません。きっと分析力と情報力がある方であれば説明できるのでしょうが、個人投資家にとって本気で分析しようと思ったら限界があると思うのです。機関投資家と同じ土俵で戦ってもきっと勝つことはできないでしょう。だから、中途半端に分析するくらいならいっそやらない方がよいと思うのです。その意味で『お小遣い投資家』には必要ない知識としているのです。

 

また、株式投資を始めると四季報が必要になるという考えもあります。会社の情報を見て投資対象の銘柄を絞り込みなさいということです。確かに四季報には詳細な情報が載っており企業を理解することに活用できる情報源です。ただ、四季報を活用して投資されている方の書かれている記事を読むと、四季報を使う目的が成長企業の発掘です。つまり、今はまだあまり注目されておらず株価も低いけど、これから急成長して注目されると株価が一気に上がるという、いわば「ダイヤの原石探し」のように使われていると思うのです。

 

これはこれで1つのやり方だと思いますが、『お小遣い投資家』は、株価が2倍、5倍、ひいては10倍になるものに投資していくわけではありません。大きな売却益をねらうのではなく、安定的な配当を長期的にもらうことを第一として、たまたま株価が大きく上がったときはいったん手放すというスタイルです。こういう意味で四季報から得られる知識はさほど必要ないのです。

 

最後にテクニカル分析について説明します。テクニカル分析とは株価の動きや変化に着目する分析で、主にトレーダーが使用するものです。企業のことはあまり関係なく、チャートと呼ばれる株価の動きを示したグラフを見て、これから上がるのか、下がるのかを予測するのです。また、ローソクと呼ばれる株価の上がり下がり、最高値や最低値を色や形で示すものがあったり、移動平均線と呼ばれる株価の傾向を示すものがあったり、たくさんの分析項目があります。

 

しかし、これは言うまでもなくトレーダーが使うもので、『お小遣い投資家』の投資スタイルとは全く異なる分野です。テクニカル分析では日々の株価の動きが非常に重要なのですが、『お小遣い投資家』にとってはあまり重要でなく、むしろ株価の動きを見なくてもいいくらいです。