FPわかし’s blog

目指せ!お小遣い投資家

老齢年金のこと その2

将来の年金について老齢基礎年金と老齢厚生年金の説明をしました。ここでは、年金保険料はちゃんと納めておいた方がよいという説明をします。「年金保険料を納めても将来もらえる額が少ない」とか「年金はあてにしていない」といった理由から、年金保険料を納めない人が多くいます。

 

厚生労働省の報告書によると「平成30年度末の公的年金加入者数は6,745万人となっている。このうち、未納者数は138万人となっている」とのことです。年金の最も重要な点は「一生涯もらえる」ということです。もし、投資によって同じように一生涯もらえるようにするためには、とてもたくさんの資産が必要になるのです。その意味で、支払った金額(年金保険料)と得られる資産額を比較すると、非常に良い「投資」になるのです。

 

年金は国が支給するものですから、日本の財政がしっかりしている限りちゃんと支払われます。国の後ろだてがあるので安心できます。もし、同じように日本政府の後ろだてがある資産というと国債です。ですので、国債を使って計算してみます。国債は日本国が発行する債券で、簡単に言うと国債を買ってくれた人から日本国が借金することです。

 

国債にはいくつか種類があるのですが、個人が購入できるものは個人向け国債と呼ばれ、3年、5年、10年の3タイプがあります。どれも最低利回りとして0.05%を保証しています。今は歴史的低金利ですから、ほとんど最低保証の0.05%になっています。では、もし年金と同じ収入を得るとしたら、いくらくらい国債を購入する必要があるのでしょうか。

 

まず、得られる金額からリターンを計算します。781,700円をもらうには、税金(所得税源泉徴収20.315%)を考慮して、980,987円のリターン(国債の利子)が必要です。
980,987円 × 20.315% = 199,287円(所得税として引かれる金額)
980,987円 - 199,287円 = 781,700円(年金で受け取る金額)

 

次に、利回り0.05%で計算すると、
国債を購入する金額)× 0.05% = 980,987円
なんと、、、19億6197万4000円!になるのです

 

金額が大きすぎて、ちょっとピンとこないかもしれませんが、働かなくても一生涯お金がもらえる年金というのは非常にありがたい制度なんです。もし銀行の預金(0.01%)で計算したら、国債の5倍ですから98億円になります。年金と同じ金額を投資で実現しようとするとたいへんなお金が必要だということです。

 

今は低金利なので国債の利回りが最低保証ですが、もう少し利回りを考慮しましょう。日本株の平均的な利回りは2%ほどです(東証1部上場企業の加重平均を指数とする東証株価指数TOPIXの平均利回り)。この利回りを使って再度計算してみると、
 (日本株を購入する金額)× 2% = 980,987円
 ズバリ、、、4904万9350円です

 

少し現実的な数字になりました。それでも5千万近くの資産を持っているのと同じことになるのです。国民年金の支払総額は、約800万円ほどです(年間20万円×40年)。単純に計算すると6倍(800万円×6倍=4800万円)になっています。

 

さらに、年金給付には税金も使っていますので、年金をもらわない人は税金の払い損ということになります。実際、2019年の消費税増税分も「年金生活者支援給付金制度」として年金に上乗せされています。消費税が財源なのでほぼ国民全員が払った税金の一部は年金受給者の手元に渡っているのです。

 

ですから、年金はしっかり払っておき、60歳以降からきっちり一生涯もらうのが投資という点においても非常に効果的です。国民年金だけでなく厚生年金も含めて「一生涯お金をもらえる」というのは莫大な資産を持っているのと同じことなのです。