FPわかし’s blog

目指せ!お小遣い投資家

投資の最大の敵とは?

スポーツや格闘技における敵と言えば対戦相手ですが、投資における敵とは誰でしょうか。百戦錬磨の凄腕投資家でしょうか、東日本大震災や新型コロナウィルスなどの脅威でしょうか。実は、投資における最大の敵は自分の感情です。

 

人間の行動を支配しているのは理性ではなく感情です。例えば、犬が苦手な人は絶対に噛みついたりしないから大丈夫と頭では分かっていても、いざ犬が近づいてくると怖くて足が震えてしまいます。人間には主に2つの感情があります。1つは恐怖、もう1つは欲望です。この2つの感情は非常に強力で私たちの考え方や行動を支配しています。投資を始めると必ずこの2つの感情と向き合うことになります。

 

具体的には、投資しているものの価格が下がってくると「これ以上資産が減ってしまうのが怖い・・・」という不安や恐怖といった心理的ストレスが生まれます。人間は、不安や恐怖という負の心理状態を放置できないので、この感情を抑えこむために何かしらの行動を起こしてしまうのです。しかも、多少パニックを起こしていますから冷静な判断ができず、普段ならやらないようなミスを犯すこともあります。

 

市場価格というのは、下がり始めるとどんどん下がり、驚くほど下がることもあります。下がると売る人が現れてまた下がる、さらに売る人が現れてもっと下がるという連鎖が起こるわけです。売りが売りを呼ぶ展開です。そうなると、市場価格の継続的な下落により資産が減っていく現実に耐えられなくなり、「もっと下がったらどうしよう・・・」という不安がどんどん膨らみ、ついに損失を覚悟で売却してしまうのです。

 

いったん売却してしまうと二度とその損失は戻ってきません。こうなると、しばらくは投資するのが怖くていったん投資から離れます。しかし、徐々に景気が戻り、株価が上がり出し、今こそ投資だ!という風潮が強くなると、また投資を始めるというお金を減らす負のサイクルが回り始めます。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という言葉がありますが、まさに投資をすればするほどお金を減らしていくという典型パターンです。

 

一方で、投資しているものの価格が上がってくると「もっと儲けたい!」という欲が出てきます。困ったもので、この欲望の感情には上限がありません。最初は1万円の儲けでも飛び上がるほどうれしかったのに、それに慣れてくると10万円、100万円と金額が上がっていき、気づいたときには1000万円儲けても満足できず、「もっと、もっと!」と利益を追求するようになっていきます。

 

考えてみたら当たり前ですが、投資で永久的に右肩上がりに儲け続けるのは至難の業です。つまり、欲望に駆られて突き進むといつかは信じられないほどの大きな損失を出すことになります。儲け続けている間は、いつその流れが終わるかのタイミングがわかりません。ですから、大きな損失を出して始めて儲け続けていたという幻想に気づくのです。

 

心理学の実験で分かったことですが、人間は「手に入れたいものが手に入らないストレス」より「手に入れたものを失うストレス」の方が格段に大きいそうです。確かに言われてみればそうかもしれません。宝くじを買って100万が当たらないことより、100万円を無くしてしまったことの方が比べ物にならないほどのショックです。

 

欲望の感情は恐ろしくて、大きく損失を出した(お金を失った)とき、いったんショックで落ち込みますが、その後失ったお金を取り戻そうという行動に出てしまうことです。そこで終わればいいのですが、さらに失うと借金してでも取り返す、という最悪のパターンに陥るともう終わりが見えてきます。

 

少し極端かもしれませんが、恐怖や欲望の感情に流されるまま行動をとると投資で成功することはできないばかりか、人生を棒に振ってしまうことにもなりかねません。まず、人間の感情のパワーの凄さを認めること、そしてその感情と向き合うことの重要性を認識しなくてはなりません。

 

成功する投資家とは、自分と向き合い、自分を知り、自分の感情を抑える技術を身につけていることが必須条件になります。投資とは常に自分との戦いであり、成功する鍵は全て自分の中にあるのです。